うたまる神の今日の言葉

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zoom RSS 第二話 宣戦布告

<<   作成日時 : 2006/10/13 04:40   >>

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3月15日 月

「ふあ……ああああ……あぁ……」
 のっけから大欠伸。
 変な夢を見せられたせいか、今日はいつにも増して寝不足だ。
 俺には望むと望まないとに関わらず、他人の夢を見てしまう――いや、見せられてしまうという妙な特技があった。
 体質か――?
 何故、そんな能力が俺に備わったのかは知らないが、ともかく、その変な能力が俺の睡眠不足を促していることだけは確かだった。
「あふあふ……」
「弟くん、眠そうねぇ……」
 隣を歩いていた音姉がクスリと微笑む。
 彼女はあさくら朝倉音姫(おとめ)。
 幼い頃から姉弟同然に育ってきた、いわば姉のような存在だ。
「ん〜、なんか寝足りなくってさ……」
「昨日は随分早く寝ちゃったような気がしてたんだけどなぁ……」
「兄さんのことだから、どうせ寝たフリしながら悪だくみしてたんでしょ……あふあふ……」
 音姉の向こう側から、由夢はさも決まりきったことかのように断言してきた。
 彼女は朝倉由夢(ゆめ)。
 似たような言い方になってしまうが、幼い頃から兄妹同然に育ってきた、いわば妹のような存在だ。
 10年くらい前から、俺は彼女たち姉妹の住む朝倉家に厄介になっており、家族同然に暮らしている。
 家族構成は音姉と由夢、それに二人の祖父である純一さん。俺も含めて計四人の共同生活だ。
「兄さんってば、一週間くらい前からはりきってたもんねぇ……」
「まあ、そうなの?」
「違うよ。何だよ……悪だくみってさ。音姉もいちいち信じない。それに、由夢だって眠そうじゃないか……」
「ふぁ〜あ……」
 言ってる側から由夢も大欠伸。
「ほら……」
「違うよ。わたしは卒業パーティーなんてかったるいだけ……あふあふ……」
 由夢は、もう一度『ふぁ〜あ』とだらしなく欠伸をして見せた。
 学校では優等生で通っているくせに、誰も見てないところではこうやって気を抜いてしまうのが、こいつの悪いところだ……。
「じゃあ、何にも企んでないの?」
「企んでない、企んでない……」
「お姉ちゃん、今日は兄さんたちが待ちに待った卒パなんだよ。何も企んでないわけないじゃない」
 そういう決め付けはよくないと思うぞ。
「……んもぉ、ダメだよ。いくらお祭りだからって、やっていいことと、ダメなことがあるんだからね?」
「んな、ガキじゃないんだから……」
「くれぐれも変な騒ぎはおこさないこと。いくら私が生徒会の役員でも、かばいきれないんだから……」
「無駄だよ、お姉ちゃん。無駄無駄。兄さんは、絶対何かやらかすに決まってるんだから」
「はぁ……。俺ってそんなに信用ないのかなぁ?」
 わざとらしくため息をついてみせる。
「あ……、弟くんを信用してないわけじゃないんだよ。でもでも、でもね一応ね、生徒会の役員として言っておかないとね……その……」
 音姉が必死に弁解する。
「甘いよお姉ちゃん。甘い甘い、甘すぎ! クリパの後夜祭での大惨劇、忘れちゃったの? まさに、『血塗られた聖夜!』……だったじゃない」
 由夢が言っているクリパというのは、毎年クリスマスに恒例で行なわれるクリスマスパーティのことだ。
 うちの学園はお祭り好きなのか、学園祭に匹敵するパーティーが年に数回ある。
 その中でも代表的なのが『クリパ』=クリスマスパーティーと、『卒パ』=卒業パーティーなのだ。
「馬鹿ヤロ、あの騒ぎはだなぁ……俺が原因なんじゃなくて、あいつらが……」
 と言いかけた時、バス停の方から渉、杏、茜の三人がやって来た。
「おっす、義之!!」
「バス通組か……」
 こいつは2年2組の板橋渉(いたばしわたる)。
 俺とは、1年の頃からいろんなことで張り合う、言ってみれば悪友だ。
「ふふ、ちゃんと逃げずにやって来たってことだけは褒めてあげるわ」
「義之くんのクラスなんかには絶対負けないんだから」
 2年3組の雪村杏(ゆきむらあんず)と花咲茜(はなさきあかね)。
 こいつらも渉と同様、割と1年の頃から、騒動の中心にいることが多い連中だった。
 三人とも、さっき由夢に言いかけた『あいつら』に含まれる連中である。
 渉にしても、杏と茜にしても、普段は割と仲がいい連中だ。
 ただ、今日だけはこいつらは敵だった――。
「あ〜どもども、おはようございます、音姫先輩」
 渉が調子よく音姉と由夢に擦り寄っていく。
「おはよう」
「オハヨ〜♪ 由夢ちゃん」
「おはようございます、先輩方」
 由夢は先ほどの眠そうな様子など微塵も見せずに、優雅にお辞儀をして見せた。
 相変わらず、切り替えだけは早い。
「「おはよう」」
「どーだ、1組の様子は?」
 校門に差し掛かったあたりで、渉が、ふふんと鼻を鳴らしながら聞いてきた。
「小恋のクラスだから、どうせ大した準備もしてないんでしょ……」
「昨日も自信なさそうにしてたもんねぇ、小恋ちゃん……」
「ふふ、俺たちにも奥の手はあるんだ。あとで吠え面かいても知らんぞ……」
「わぁ、大きく出たねぇ……」
「杏、どう見る?」
「油断はできないわね。義之のバックにはあいつもいるし……」
「それもそうだな。まあ、お手並み拝見といかしてもらいますか」
「お互い、ベストを尽くそうね。義之くん♪」
「ああ……」
「行きましょ、茜」
「うん」
 『ふふ』と不敵な笑みを浮かべ、杏が去っていく。それを追う様に茜も去る。
「負けねーからなっ!!」
 渉は『ビシッ!!』と俺に人差し指を向けて宣言すると、そのままきびす踵を返して学校に走っていった。
「むう、相手にとって不足なし……ってことか。ここは、いっちょ泣きを見せてやらんといかんなぁ……。思い上がったヤツらには、お灸(きゅう)を据えてやらんとな……」
「……………………」
「ほらね。絶対何かやらかすつもりなんだ……」
「はぁ……」
 決意に燃えた俺の握り拳を見て、音姉がため息をついた。


〜あとがき〜
さて、これから風見学園恒例の卒業パーティーが開催されます。その騒動の中にはもちろんあいつが……! どんな騒ぎが起こるかは見てのお楽しみ。

>健太郎さん
えっと、なんなんですかそれは。聞いたこともないものですね……。
これは今あなたに貸している「○○U〜○・○○○U〜外伝」の先行版ですよ。早く返してくださいね。

welrod〜ウェルロッド〜さん
はい、その通りです。桜が絡んでいるのは数が少ないですからね。実はこの主人公、その出生に大きな秘密を抱えているのですが……すごいですよ? これも見てのお楽しみです♪

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
久しぶりでブログ復帰なホタルです。

おぉ?○並!?いやまさか・・・(笑)

では。
ホタル
2006/10/16 04:21
なんだか新しいブログの書き方にびっくりしながら読んでました

他人の夢を見れてしまうって、どんな気持ちになるんでしょうね。

次回の『あの』人物の絡みに期待です(笑)

それでは失礼します
ごまだんご
2006/10/19 12:43

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